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2007/12/19

フルトヴェングラーかカラヤンか?その5 お題「第九交響曲」

やっぱ年末だし、便乗できるモンはしておかないと・・・(^ー^* )

てなわけで、ほったらかしになっていた、聞き比べコーナーの続きやります。

お題>ベートーヴェン作曲 交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付」

カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー、ウィーン楽友協会合唱団、トモワ=シントウ、バルツァ、シュライヤー、ヴァン・ダム、1976-77年ベルリン・フィルハーモニーザール(ホール)での収録

えっとですねえ、今回、実はライブ同士で聞き比べしよっかなあと思い、新たにファンにはおなじみの「普門館ライブ」を買っては見たんですが、カラヤンの場合、例えば、カールベームとかとは違い、ライブで性格が豹変するタイプではないらしいんで、録音の優れた「スタジオ盤」の方を中心に聞きました。

楽曲に関する戯言はとりあえず抜きにして、演奏に対する印象をさらっと書きます。

全体の印象は「コリオラン」の時とそれほどは変わらない。相変わらず、重量戦車と戦闘機を合わせたような、ものすごいオケの響きで、スコアの隅々まで再現してやろうという姿勢は変わりませんね。また、鋭いリズム、例えば第1楽章のテーマの複付点音符(タッッカッ、て言う感じのリズム)が曖昧だったりするのも、いつものカラヤンです。ただ、やはり8年という歳月の流れは、それなりの変化をもたらし(「コリオラン」の録音は1969年)、ベルリンフィルの技量はさらに増し、また、ホールも残響の少ない、フィルハーモニーザール、てこともあって、一音一音がそれこそ手に取るようにはっきりくっきり聞こえます。

本当にこれはスゴイ。

各楽器、各セクションは、完璧なまでに磨かれ、一音たりとも(弦のトレモロのひとつひとつまで!)おろそかにせず、音楽はまさに、最初からそこに音が存在したかのごとく、予定調和のごとく鳴っている。演奏しているのは、スーパー集団ベルリン・フィル、そして、世界最高の歌手陣・・・

でも、なんっか物足りないんスよね。オレの個人的感想だけど。

なんでだろうか?少ない脳みそで必死こいて理由をでっち上げてみます。

まずは、あまりにも、完璧すぎて破綻がなく、それが反って迫力を損ねている。「コリオラン」の場合、確かにカラヤン美学も感じられるけど、まだまだ楽団員と意識は完全に同一でなく、随所にいい加減なところや、ルーズなところ、ファジーなところが残っていて、それが、反って効果を出していた部分があると思います。もちろん、カラヤン自身は、1960年代のベートーヴェン演奏よりは、1970年代の演奏をおそらく自分では高く評価するでしょうね。カラヤン美学を徹底的に追及すると、結局演奏はこうなる、という当然の帰結のようにも思われます。

録音機材も進化を遂げているので、おそらく、この録音、以前にも増して、コマ録り(部分録音)を多用していると思われます。木管や金管などは完全にソロで別録りしてるのか?と思われる箇所もいくつかあり、そのせいか時に全体の響きに不自然さを感じることがあります。例えば第4楽章のオケのみでのテーマ演奏(CD・Tr4の3:47~)で、ファゴットが異様に大きいところとか・・・確かにこのファゴットのオブリガードはベートーヴェンの特色のひとつだけど、何も弦より大きくしゃしゃり出なくても良いだろうに・・・ま、こんなのは、ミキシングルームで、バランスいじれば、いくらでも変えられそうですが(勝手な推測)。

というわけで、聴いていて「すっげえ音だなあ」とは思いながら、「ゾクッ」と背筋が身震いしたり、おもわず「うるっ」目頭が熱くなるような経験とは無縁な演奏ではありました。あと、持続するクレッシェンドの扱いが物足りない。「楽譜どおり」の演奏を賞賛しながら、楽譜+@を演奏に求めるのは矛盾している、と思われそうですが、ンなもん、+@がなければ、楽譜読んでりゃいいだけの話だろ\(--; ・・・というより、この演奏、かなり楽譜にも忠実ではないんだけどね。

逆に良いところ・・・第3楽章出だしの透徹とした表現、第4楽章のバリトン「おお友よ」の直前の全合奏(CD・Tr5の0:00~)の畳み掛けるような迫力、シュライヤーのソロ、コーダ(大ラス)のオケの鳴りっぷり、他にもありますが、なんといっても、ベルリンフィルをここまで鍛え上げたカラヤンの手腕は素晴らしく、ムラヴィンスキーのレニングラード(現・サンクトペテルブルグ)フィルと双璧をなすものだと思います。脱帽、いや帽子じゃ足んねー、マジ、ホント。

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